第１章では、日本人の金銭に対する考え方とその文化的背景が語られており、著者はお金に対するネガティブなイメージに触れています。多くの日本人が「お金儲けは悪」と考え、特に若い世代は「投資はダーティー」と感じていることに驚きを示しています。商学部の学生さえも金銭に対して消極的で、社会貢献を強調しながらお金について話すことを避ける傾向があります。このような文化の中で、日本人はお金そのものが好きで、特に現金や預金を好むことがデータからも明らかになっています。個人金融資産の約55%が現金・預金で占められており、多くの資産が「眠っている」状態です。 また、日本人は非常にケチな一面も持ち、寄付の文化も薄く、日本人の寄付額はアメリカの約52分の1にあたる2500円しかありません。これは他の先進国と比べて極めて低い水準です。さらに、震災後の寄付の実績からも、非常時でさえ寄付が増えないことが示されています。 後半では、消費行動の質について考えられます。消費は単なる物の購入ではなく、社会や人に対する応援の行動と捉えることが重要であると述べられています。消費者が「自分が好き」と思うものにお金を使うことは、素晴らしい経験を生み出し、経済を育てると考えられています。しかし、孤独感を埋めるための衝動買いが横行する現実も指摘されています。著者は、孤独感を解消するための消費が多く、商品やサービスの消費が安全策として機能していることを述べています。特に高齢者に向けた金融商品が「孤独を埋める商品」としての側面を持つことが示され、ビジネスとしての冷酷さも語られています。 総じて、文化的要因や社会的影響に基づく日本人の金銭観が描かれ、消費行動の背後にある心理やそれに伴う社会の動きについて深く考察されています。最後に、個々が「ただ生きているだけで価値がある」と認識し、より良い行動を取ることの重要性が強調されています。

多くの人は「会社」に対してネガティブなイメージを抱いています。例えば「会社はつらいところ」「個性が消えるところ」などといった具合です。このような悪い印象の根源について考察する中で、日本人の労働観に目を向けます。2005年の調査では、日本人の約20％しか「仕事が第一」と考えず、特に若年層ではその割合がさらに低いことがわかりました。対照的に、ドイツや中国では多数が仕事を重視しているという現実があります。 また、アメリカの職場環境と日本のそれとの比較では、日本のサラリーマンは職場に対する満足度が低く、同僚との評価が厳しい傾向にあります。これに対し、アメリカでは同僚を褒め合い、前向きな評価がなされることが一般的です。この文化の違いは、労働者のモチベーションや成果にも影響を及ぼしています。 会社の本質についての考察では、「会社」という言葉は本来「仲間」を意味し、株式の「シェア」も分配や協力を示すことを強調しています。人間の生存戦略として「協力」が重要であり、会社は人間の力を最大限に引き出す場であるという新たな視点を提示しています。この視点から、会社に対する見方を変えることができるかもしれません。 次に、日本の経済状況についての議論が展開されます。日本経済団体連合会（経団連）のリーダーたちの企業の多くは、実際の業績が低迷しており、そのため「日本はダメだった」というイメージが蔓延しています。しかし、実際には成長している企業も多く、残った企業の株価が下がったのはリーダーたちの無能さの結果だと指摘されています。この現象が、広く認識される日本の経済が抱える問題の一因となっています。 最後に、著者は日本経済に対して楽観的な見方を示し、未来に対する希望を持つことの重要性を強調します。悲観的な考えは、自身の未来を閉ざすことに繋がり、信じることの重要性を語ります。あなたは社会に投資している「投資家」であるというメッセージで締めくくられ、前向きな視点を持つことが奨励されます。この考え方を持ち続けることが重要であり、自分自身や社会を信じる旅を共に進めることが提案されています。