記事の個別表示(修正可)
タイトル  墜落事故
本文  
  墜落事故
 REUTERSには、『エチオピアの墜落事故、調査当局は失速防止装置が作動と結論=WSJ』と題して、エチオピアで米ボーイング<BA.N>の旅客機737MAXが起こした墜落事故を調査している当局は、墜落前に同機の失速防止装置が作動したと暫定的に結論付けた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が事情に詳しい関係者の話として29日に伝えた。

 報道によると、墜落機から回収したブラックボックスの解析で得られたこの調査結果は今後修正される可能性がある。また、エチオピアの調査当局による暫定報告書は数日内に出される見通しだという。とある。

 飛行機などの複雑な装置は、コンピュータによる制御が欠かせない。コンピュータのプログラミングは、人の手による製作物だ。しかも、それを作っているのは、その時点で、一人の人間でしかない。考えながら、最善を尽くして、ついでに言うと、納期を意識しながら作る。一旦できると、バグ取りをするが、プログラムの中に潜む欠陥は、外からは、仕様なのか、バグなのか、区別がつかない場合も生ずる。

 作り上げられたプログラムに異常値が入力される。センサーからの誤った信号が入力された事を切っ掛けに、失速防止装置が誤動作を起こす。センサーからの信号が、こういうレベルなら異常だから、こうしなさいとは、きっと仕様書には無かったのかも知れない。従って、そこの部分は、作られていなかった。失速防止装置の誤動作と言うが、プログラマーからすれば、書き上げたプログラムに、バグは無かった。バグが有ったのは、仕様書の方だと言う事になる。そうした事を思わせる事故だ。

 最近、プログラムを組む機会が多い事から、これに関連して思う事が有る。センサーからの異常値の入力と聞けば、Webページなどの入力ボックスに対しての、ハッカーのいたずらだ。エンドユーザーを想定して、仕様は出来上がる。だが、想定するエンドユーザーにもよるが、一般的には、コンピュータに対して、ずぶの素人だ。中には、ブラウザのスクロールすらできない人も居る。と言うか、知らない人も居る。ディレクトリーと言う概念が分からず、ファイルを探せない人がいる。ダブルクリックが出来ない、右クリックを知らない。そうした事を前提に仕様書を書くとなると、もはや、不可能の領域に突入する。

 不可能を前提に書かれた仕様書を前にして、多くのプログラマーが手分けをして、部分部分を担当する。その品質も、人の手による作業なので、一定ではない。出来上がった複雑なシステムが、そうなると、不具合を生ずる。複雑なシステムを完璧に作ることは、不可能なのかも知れない。何か実際に起きてから、その不具合を一流のプログラマーが、そこを修復する。それが、今と言う時代なのかも知れない。

 大きな一流会社のシステムが、ハッカーにやられる。新聞をにぎわす事件だ。ほとんどは、セキュリティー意識の低い社員からのパスワードの漏洩だろう。だが、中には、ちゃんとシステムの欠陥を付いて侵入されるケースも有るだろう。大きなシステムになれば、一人でプログラミングしている訳ではない。多くの担当者が関われば、出来の悪い部分が生ずる。そこを狙われれば、してやられる事になる。

 人間は、間違える。それを前提にシステムは組まれるべきだ。事実、多くの複雑なシステムは、それを前提に組まれている。が、同時に、システムの異常に対して、それを気付く事が期待されているのも人間の役割だ。そもそも、そこに関係する人が、無知である事を前提に複雑なシステムを組むことは、無理が有る。現在の最高の頭脳を以てしても、猿でも使える複雑なシステムを作る事は、不可能と言えば、分かり易い。失速防止装置の誤動作をパイロットは、どう認識したのか、そこに訓練不足は無かったのか、つまり、無知が無かったか、原因は、「装置」とか「システム」とか、そうした内の一つが原因だとは、断定的に言えないのでは無いのでしょうか。
...171172173174175176177178179180...